太鼓系シミュレーターの創作譜面の中でも、「ギミック譜面」はマイナーなジャンル。
人によって「音に対してどんなギミックを使うか」といった個性が表れる、マイナーのままではもったいない魅力的な譜面ジャンルでもあります。
今回の記事は、私の好きなギミック譜面、及び制作者様を布教する内容です。
この機会にギミック譜面への興味を持つ人が増え、界隈の人口が増えることも祈りつつ、早速布教を始めていきます。
Rocky
Rocky氏は、私が最も尊敬する譜面制作者です。
ギミックの掛け方・技術・美しさ・インパクト…。
そのどれを見てもトップクラスの技量を持つ、表現者の1人とも言える方です。
複素数譜面の印象が強いですが、昔は無印次郎のギミック譜面も作譜していました。
無印次郎の譜面も、非常に高クオリティで見応えがあります。
太鼓さん次郎 / Growth Memories
要素の配分的には、配置要素6割・ギミック4割といった譜面。
1:05から、何かが目を覚ましたかのようにギミックが展開されます。
逆走・瞬間移動・往復…と、頭が追いつかないほどのギミックの連打。
しかしそのどれもが音にしっかりハマっており、見る者に気持ちよさを与えます。
私が特に好きなのは、自然かつ美しい連打音符の使い方です。
太鼓さん次郎 / #FairyJoke #SDVX_Edit
Growth Memoriesとは違い、こちらは全体的にギミックが掛けられている譜面。
序盤の逆走ギミックから、特徴的な音に合わせたギミックの展開が始まります。
この譜面は何と言っても美しい。
最初から最後まで、視覚的にも聴覚的にもきれいにギミックが挿入されてます。
それでいてインパクトがあり、何度も見たくなるような中毒性も。
特に随所で使われる往復ギミックは、キャッチーで楽しい要素として脳に残ります。
太鼓さん次郎2 / Destroy
私が知る限り、次郎2で初めて逆走ギミックが使われた譜面です。
ただ逆走させるだけでなく、ワブルベースに合わせた連打音符も気持ちいい。
段階ごとに連打音符の数が増え、形もインパクトのあるものへと変化していきます。
そのパターンを見る人に予測させ、最後まで裏切らない挙動を見せてくれる。
高揚感を高めるのが非常に上手い作品です。
太鼓さん次郎2 / NECRO PARTY
Destroyで使われた逆走に加え、テクニカルな連打芸や音符アートを見せてくれる譜面です。
特に私が好きなのは、0:37からのワブル地帯。
驚くべきは、同地帯のギミックがほとんどフィーリングであること。
ギミックも停止・逆走・速度変化とインパクトがありますが、思わず音合わせと錯覚するほどの一体感を醸し出しています。
終盤の音符アートも、コンセプトである「弾幕結界」を美しく表現した圧巻の展開と言えるでしょう。
太鼓さん次郎2 / Shera
「Rocky氏と言えばこの譜面」という人もいるでしょう。私もその1人です。
極長小節線を使ったアート作品。
ここでは羅列できないほど、とにかくさまざまな直線アートを見せてくれます。
そして、この譜面を語る上で欠かせないもう1つの要素が2Pのダミー音符です。
長方形状に大音符を並べてフレーム枠を作る展開を始め、
終盤では2つの星状の音符が動きながら判定枠に近づく、美しさと絶大なインパクトを持った挙動が展開されます。
直線アートとダミー音符が織りなす、最初から最後まで度肝を抜かれる高度な芸術作品。
界隈における伝説的な譜面と言って間違いありません。
DTX2110
DTX2110氏は、私の先生とも言える存在であり、ギミック譜面を作るきっかけを与えてくれた方。
基本的なギミックはもちろん、譜面の書き方も彼のtjaを見て覚えました。
選曲スタイルはTANO*Cを始めとしたHARDCORE系統が目立ち、音に合わせて昔ながらのギミックを楽しませてくれます。
分岐ギミックも積極的に使用している、数少ない作譜者でもあります。
ギミックを掛けるタイミングが的確なので、「どんな感じでギミックを掛ければいいか分からない」という人は、彼の動画を見て勉強しましょう。
太鼓さん次郎 / Kick-ass Kung-fu Carnival
氏を語る上で、この譜面は欠かせないと言えるでしょう。
速度変化やDELAY停止を主軸とした、古き良き譜面です。
全体的にギミックの挿入タイミングが良く、最後まで違和感なく譜面を楽しめます。
特筆すべきは、2:23の展開。
中でもDELAY停止の使い方には光るものがあります。
連打&停止、見た目16分での停止を使った刻みなど、音とのマッチ率があまりにも高いです。
5分と長い譜面ではありますが、見ていて飽きず、むしろ何度も見たくなる譜面であることは間違いありません。
太鼓さん次郎 / oppIrish(GYPSYCOREremix)
分岐・速度変化・停止・瞬間移動…と、動画投稿時点で普及しているギミックがふんだんに使用されている譜面です。
最初から最後までギミック尽くしで、なおかつ全てのギミックが音にハマっている。
そんな味わい深い作品でもあります。
特に私が好きなのは前半部分で、ギミックの連打とも言うべき刺激的な演出を楽しめます。
こちらはKick-ass Kung-fu Carnival以上に長いですが、中毒性の高さから何度見ても飽きません。
太鼓さん次郎 / Unstable Shake
メロディーがほとんどないシンプルな曲に対し、同じくシンプルなギミックを掛けた一作。
使われているギミックはほぼ速度変化と、「昔ながら」な感じが強い譜面です。
それでも飽きずに何度も見てしまうほど、ギミックと音の親和性が高いのが魅力。
特に3:45のギミック連打地帯は、フィーリング混じりの速度変化やDELAY停止がなんともテクニカルで、見る者を虜にします。
全体的にSCROLLの掛け方も面白いので、その点も含めて見て欲しいです。
太鼓さん次郎 / Milkyway -memorable-
氏の中では珍しく、HARDCORE系ではない選曲の譜面です。
それとともに、「ギミックを掛けるタイミング」に関して非常に優れた作品でもあります。
中でも、慣性を持った往復ギミックの使い方が上手く、曲の弾む雰囲気とのマッチ率が高いです。
1:10からの展開では、曲と同化していると言って良いレベルの一体感を楽しめます。
ギミック譜面の教科書とも呼べるほどのクオリティ。
ギミック作譜の感覚が掴めない人にこそ、見て欲しい一作です。
elahen800
elahen800氏は、控えめで美しいギミック譜面から激しいギミック譜面まで作ってきた譜面制作者。
中でも激しいギミック譜面では、インパクトと曲へのマッチ率を両立させた刺激的な映像を見せてくれます。
太鼓さん次郎の創作譜面大会へ積極的に参加していた人物でもあり、ギミックだけでなく配置のクオリティも高いです。
余談ですが、私が太鼓さん次郎の大会に出始めたのは、氏の大会参加譜面を見たことがきっかけ。
彼がいなければ、私の大会名義である「you's」は生まれなかったでしょう。
太鼓さん次郎 / MilK
必要最小限のギミックを使い、譜面のスパイスとして取り入れた作品。
あくまでも主要な音にのみギミックを使い、音符配置の美しさを際立たせています。
ギミック量が比較的少ないながらも、慣性を持つ往復・逆走・分岐による音符出現など、インパクトの強い挙動が採用されています。
そのため、ギミックのみに集中して鑑賞しても物足りなさがありません。
「音符配置とギミックを両方楽しめる譜面が好み」という人にほど刺さる譜面と言えるでしょう。
太鼓さん次郎 / LeaF-Style Super〆Shredder 3
MilKとは逆に、積極的なギミック挿入が施された譜面。
全体的に激しいながらも、声ネタやブレイクビーツに沿って丁寧にギミックが掛けられています。
音とギミックのハマりが非常に良いこと、ギミックが始終目立つことから、最初から最後まで楽しめる作品です。
前者は曲との相性や新鮮さが抜群に高く、この譜面の世界観へ一気に引き込んでくれます。
後者も音に合っているのはもちろん、今まで誰もやらなかったどころか思いつきもしない斬新な挙動に目を奪われます。
合わせて使われている背面停止や、往復&停止を交えた音符配置との親和性も抜群。
「この曲と言えばこのギミック」、そう思わせるほどに理にかなった、素晴らしい演出です。
太鼓さん次郎 / PURE(dotη remix)
MilKの丁寧さ、LeaF-Style Super〆Shredder 3の激しさを融合したような譜面です。
特徴的な音に絞って、丁寧かつ確実なギミックの掛け方をしているのが特徴。
この曲に関しては特徴的な音が多いため、必然的にギミック量も多くなっています。
全てのギミックが音にハマっていると言っても過言ではなく、ギミック譜面としてのクオリティがとても高いです。
音合わせが難しい逆走も積極的に使われており、それすらも曲の一部のようにハマっているのはお見事としか言い様がありません。
最後に大音符達が後退する挙動も、譜面のオチとして面白く演出されています。
かれーどらい{きつね}
かれーどらい{きつね}氏は、私が知る限りでは界隈の中で最もギミック譜面を制作している存在。
ギミック譜面で見かける機会が多い「疑似DELAY」の産みの親。
ギミック譜面の作譜を支援するツールを手がけているのも含め、界隈への貢献は大きいと言えるでしょう。
無印次郎・次郎2・TJAPayer・TaikoManyGimmicksと、さまざまなシミュレーターに対応するマルチ能力。
そして再現難易度の高いギミックを再現する技術力と、多彩と言うべき才能を持ち合わせています。
活動初期から現在に至るまで追い続けている、私の好きな譜面制作者です。
太鼓さん次郎 / MONSTER K
氏の譜面の中でも、初期に作られた作品。
逆走と往復ギミックを主軸にした、今までにありそうでなかった譜面でもあります。
逆走や往復ギミックは、単体で使うと音符が散らかり見た目が汚くなりがち。
この譜面はSCROLLやBPM変化を上手く使い、きれいな見た目に仕上げているのがポイントです。
私が特に好きなのは2:01からの展開、ピコピコ音と往復ギミックのハマり具合がたまりません。
見れば見るほどクセになるスルメ譜面。
私はこの譜面を何回か見ていて、気がつけば虜になっていました。
太鼓さん次郎 / Experiment
ダミーノーツ劇場の先駆けと言って間違いない譜面です。
曲中で判定される音符は1コンボの、ギミックに極振りした一作。
4,628小節に渡って繰り広げられる、映像と言って大差ないほどの音符劇場を楽しめます。
特にすごいのが、0:35のような音符の回転。
スクロールに奥行きがあるとすら錯覚させてしまうその挙動は、圧倒的技術と芸術性を兼ね備えています。
無印次郎の「横スクロールの限界」を超える、1つの可能性を提示した作品と言えるでしょう。
太鼓さん次郎2 / GOODWORLD
氏の複素数譜面の中で、特にクオリティの高い一作。
文字配置・音符アート・ダミーノーツによる装飾…。
これ1つでさまざまな要素を楽しめる、味わい深い譜面となっています。
この譜面のハイライトは、1:46にあると言えるでしょう。
メインは楕円形に配置された音符ですが、判定を持たないダミーノーツの装飾に度肝を抜かれます。
展開の後半に施されている「黄色連打による装飾」は特に必見。
半透明な四角状のフレームが回転しているような挙動には、ズバ抜けた技術力とインパクトを感じざるを得ません。
「次郎2の可能性は無限大」、そう感じさせてくれる素晴らしい譜面です。
TJAPlayer3 / Sense
TJAPlayer3を用いた小節線アートを楽しめる譜面です。
全ての小節線芸に違和感がなく、1つの作品として芸術性の高い仕上がりとなっています。
前者は秒針の音に合わせて小節線の向きが変わる、ノスタルジックな挙動を楽しめます。
後者は小節線の回転と往復を交えた、浮遊感が素晴らしい演出です。
小節線アートだけでなく、1:56からの複素数地帯も必見。
それまでに音符関係のギミックがほとんど使われなかったのもあり、同地帯の爆発力が高まっています。
曲と相まって良い焦燥感も生まれており、非常に見応えがあります。
TaikoManyGimmicks / async
かれーどらい{きつね}氏は、TaikoManyGimmicksでも数々のギミック譜面を生み出していますが、中でも私が好きなのは「async」。
Rocky氏のSheraを思わせる、☆に焦点を当てた作品です。
似ているテーマでありながら、譜面に独自性を持たせているのがポイント。
例えば、0:20ではSheraの終盤で使われている星形音符がオマージュされていますが、回転・フェードアウトといった独自要素があります。
他にも、Sheraにはないオリジナル要素が多数点在しています。
独創性とリスペクト、そして愛を落とし込んだ感慨深い一作と言えるでしょう。
中でも1:36は素晴らしく、「☆への執着」と「美しさ」の両立、そして抜群の音ハマりが発揮され、思わず脳汁が吹き出す挙動となっています。
直後の1:40は、”複雑”で”まとまっている”。
この2つの矛盾を見事に共存させた、サビにふさわしい芸術的展開です。
他制作者様の譜面
ここからは他制作者様の譜面の中で、私が好きなものを紹介していきます。
無印次郎・次郎2・TaikoManyGimmicksと、譜面の種類は様々。
制作者ごとの個性を楽しめるラインナップとなっています。
以下の譜面もしっかりチェックしましょう。
太鼓さん次郎 / 翼をください / CUE-JIT
今から10年以上前に作られた、古のギミック譜面。
ギミック譜面という概念すら確立されていない時代に作られましたが、180万回以上の視聴回数、4,000以上のGood評価を誇ります。
昔ならではの速度変化のみをギミックに採用しているのがポイント。
使用ギミックの種類が低速と加速の2種類だけなのにも関わらず、曲のダークな雰囲気を高いレベルで表現しています。
昔の限られた武器を使い、高次元な芸術性を引き出した一作。
今ある数百作以上のギミック譜面の先駆けとも言える、まさにレジェンドな作品です。
太鼓さん次郎 / Amnéhilesie / maikopurazuma4126
maikopurazuma4126氏は、分岐バグによる判定枠の呼び出しを発見した人物。
氏のギミック譜面は、判定枠の呼び出しを取り入れた作品が多いです。
中でも私が好きなのは、Amnéhilesie。
今回紹介する譜面の中で唯一、HBScrollやBMScrollが使われていません。
しかし、使われている譜面と同等以上のインパクトを、譜面分岐のみで引き出しているのが素晴らしいポイント。
分岐を利用した音符配置の反転・ダミー、そして氏の得意とする判定枠の呼び出しで、見る者を世界観へと引き込んでくれます。
ギミックを掛ける、掛けないの選択が上手いのもこの譜面の魅力です。
メロ部分は特徴的な箇所にのみギミックを掛け、サビで一気に盛り上げていく。
一つの作品として非常に整った、より評価されるべき譜面です。
太鼓さん次郎2 / 3rd Avenue / tasuke
tasuke氏は、太鼓さん次郎の大会、osu!taikoとマルチに活躍している譜面制作者・プレイヤー。
氏は、複素数譜面である3rd Avenueを公開しています。
脳トレをコンセプトとした譜面であり、ギミック譜面としては珍しく実際に叩いて楽しめる仕上がりになっています。
インプットとアウトプットが交互にやってくるこの展開は、視覚的なインパクトを与えつつ、曲との高い親和性を発揮しています。
「音符を覚えて叩く」といった、シンプルながらもクセになるプレイ感もたまりません。
オプションでShuffleを付ければ音符の配色がランダムになり、毎回違ったインプット・アウトプットを楽しめるのもすごいところ。
見て楽しい・叩いて楽しい、この2つを実現した数少ないギミック譜面です。
太鼓さん次郎2 / GOODBOUNCE / 複素数
この作品を一言で表すなら、”圧倒的技術”。
否、圧倒的という言葉では足りません。
この譜面のポイントは、次郎2では通常不可能な挙動をダミーによって再現しているところ。
出現を伴わない慣性の付いた逆走・音符変化・判定位置の移動…ここでは挙げきれません。
音符を文字状に配置するだけでも技術的ですが、それを自由に移動させたり傾けたりしています。
「私には絶対に再現できない」、そう感じさせられた譜面です。
曲のBGAを再現する形で作られている挙動も多いので、BGAを頭に入れながら見るとより楽しめます。
TaikoManyGimmicks / On and On!! / T-FLANK
今では数々のTaikoManyGimmicks譜面がアップされていますが、その中でも私が特に好きな譜面です。
お気に入りの場面は1:01のビルドアップから。
何かがやってくることを示唆するような音符の嵐。
それを抜けると…PARTYが始まります。
ハイテンションな文字音符から始まり、踊る音符・形状に降り注ぐ音符・同時に行われる音符出現と判定…。
1回のドロップで繰り広げられる4つの展開…ブチアゲ必須なこの構成を、PARTYと呼ばず何と呼びましょう。
ドロップ以外のギミックを抑えめにすることで、PARTYの爆発力を高めているのも素晴らしいです。
控えめなギミックにもインパクトがあり、最初から最後まで楽しめる作品となっています。
後書き
記事内で紹介したものを含め、私の好きなギミック譜面は全て以下の再生リストに入っています。
再生リスト以外にも好きな譜面はあと10個ぐらいあるのですが、どれも非公開・削除で見れず…悲しいです。
この記事を見た方がギミック譜面に興味を持ってくれると、あわよくばギミック譜面制作を始めてくれると非常に嬉しいです。
以上、「(株)ギミック譜面は世界を救う」代表のkirura969でした。
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